2019年03月30日

AIの導入で介護離職をどの程度防げるのか

AI(人口知能)が発達すると、私たちの労働環境などにどんな影響を及ぼすのか、ということは、この5-10年ほど熱心に世界各地で研究されています。
オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授が2015年に発表した報告書では、「10〜20 年後に、日本の労働人口の約 49%が就いている職業において、それらに代替することが可能との推計結果」などが発表されて多くの人が衝撃を持ってその情報を受け取りました。

私が委員を務める、厚生労働省の労働政策審議会の基本部会でも、このテーマでの審議が続いています。昨日29日は・・・続きを読む。

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介護施設等においてAI等の導入でどのような変化があるかをヒアリングしました。その内容は、厚生労働省のホームページに、議事録も資料もすべて公開されますので、見ていただきたいのですが、私が最後に事務局に提案したのは、介護施設で働く人たちの労働負荷の軽減や介護を受ける方々へのメリットなどだけでなく、「AIの導入で介護離職をどの程度防げるのか」という研究もしてほしい、ということです。

私の母は2010年12月に脳出血で倒れ、その後緊急入院、リハビリ病院6ヶ月。そして自宅へ。しかし3日後に再度の脳出血で緊急入院とリハビリ6ヶ月、2012年1月から老人ホームにお世話になっています。8年目です。

倒れてからの最初の1年は仕事が調整できれば全ての夜病院に行き、週末も長時間母のところにいるという生活。同時に自宅で生活するためのリフォームやスペースの準備。戻って来た3日間は私の睡眠は長くて10分。それでもうまくいかなかったのです。あの時、自宅に少しのIT技術があれば、どれだけ良かったっでしょう。睡眠の状態や、目が覚めて起き上がろうとしていること、そんなことが簡単にアラームで知らせてもらえれば、5-10分ごとに起きて確かめなくても良かったはず。

先日、農業改革の一つで、牛の出産をAIが予測してアラームを鳴らしてくれるシステムができたおかげで、農家の方が夜中に何度も牛小屋を訪れなくても、寝ないで見張っていなくても、出産をサポートできる仕組みが紹介されていました。介護が必要な人たちが、起きているのか、眠っているのか、起きそうなのか、動きそうなのか、心拍は安定しているのか、どんな状態なのか、など、ITが報告してくれれば介護する家族は少しは安心して夜眠ることができるでしょう。

介護施設で使われるAIは色々情報があるのですから、一般の人が自宅で使える機器の紹介をし、普及させることで介護の負担が減り、介護離職を減少させることができる可能性があります。「あ、そんな機器あるよ」ということなのだろうと思いますが、それを「普及させる」こと。「今日突然介護が始まった人」にお知らせし、使っていただく仕組みを作る必要があります。

「在宅介護」という単語は、老人ホームでのケアと、自宅でのケアを両方含みます。老人ホームは病院ではないから、です。この老人ホームなど介護施設でのAIの普及と研究は進み始めましたが、ぜひ、自宅での介護においてAIが導入されることで、一般の人が介護によって時短になったり、休職、退職をしなくてもいいようにできないか、その経済効果など、調査してほしいと思った次第です。
Posted by kaorisasaki1 at 22:54│Comments(0)